技術書をせっかく買ったのなら、本の内容を正しく読み取りたいですよね。
僕は現在Webエンジニアですが、エンジニアに限らず、専門職であれば技術書で学ぶ重要性は皆さんご存知だと思います。
僕が参加しているエンジニアのコミュニティでは、技術書を読むメンバーが多く、本で学んだ内容をアウトプットしあうことが多いです。
そんな中で、よく話題に上がるのが「技術書の効果的な読み方」
僕自身、23歳まで読書の習慣がなかったので、最初は技術書を読むのがとにかく辛かったです。
ただ、何冊か本を読んでいくうちに、「技術書の効果的な読み方」がわかるようになってきました。
今回は、技術書を読むのが苦手な方向けに、僕自身が実践した効果のあった読み方をまとめていきます。
自分の言葉で要約する
技術書を読んでいて、記憶の定着率が一番高かった方法がこれです。
会話でも相手の話が理解できたか確認する為に、話を要約することは多々あると思いますが、それと同じ方法で本の内容を自分の言葉で要約します。
すると、自分の知識としてしっかりとアウトプット出来るので、ただ読み流すよりも記憶の定着率が格段に上がります。
何故、要約が効果あるのか。それは、著者と読者の知識量の差を埋めることが出来るからです。
「自分の言葉で要約する」という作業は、言い換えれば「自分の知識量の範囲で言語化する」ということです。
「本の内容を読み流す」という作業は、言い換えれば「著者の話をそのまま受け取る」ということです。
当然、後者では知識量の差分によって理解出来ない箇所が出てきます。
例えば、文章中に「リソース」という言葉が説明もなしに登場したとします。
もし読者がこの言葉の意味を知らずに要約した場合、「リソース」という言葉を自分なりに解釈しようとします。
その時、自分の解釈と筆者の解釈が異なっていたとしましょう。
そこに気付いた時に、初めて「リソース」という言葉の意味を正しく理解しようとします。自分で調べて、再度読み直すことでやっと文章を正しく読み取ることができます。
一方、読者がこの言葉の意味を知らずに「読み流した場合」は「リソース」という言葉に繋がる全ての文章を理解出来なくなってしまいます。
つまり、「自分の言葉で要約する」ことで、自分の知識を新たに付け加えることが出来るということです。
しかし、本の内容を全て要約しようとすると、いつまでたっても読み終わりませんよね。
なので、読む前に要約するルールを自分で設けてみるといいでしょう。
僕は
- 「1度読んでも理解出来ない」
- 「過去の経験と照らし合わせてなるほどと納得した時」
の2点に当てはまる場合に、自分の言葉で要約するようにしています。
階層構造で読む
技術書は大抵論理的な文章で書かれており、読むのに時間が掛かってしまう人は多いでしょう。
まさに読解力が試される訳ですが、実は読解力がない人でも論理的な文章を簡単に、スピーディに読むコツがあります。
それは「階層構造で読む」ということです。
階層構造で読むってどういうこと?と思う方が多いと思うので、僕がこの間読んだ「Webを支える技術」3章のRESTを例にあげてみます。

RESTはWebのアーキテクチャスタイルです。
アーキテクチャスタイルは別名(マクロ)アーキテクチャパターンとも言い、複数のアーキテクチャに共通する性質・様式・作法あるいは流儀を指す言葉です。
アーキテクチャスタイルには、たとえば、MVC、パイプ&フィルタ、イベントシステムなどがあります。
↑だと何言ってるかよくわからないですね。
では、これを階層構造で読んでみましょう。
RESTはWebのアーキテクチャスタイルです。
アーキテクチャスタイルは別名(マクロ)アーキテクチャパターンとも言い
複数のアーキテクチャに共通する
性質
様式
作法 あるいは 流儀
を指す言葉です。
アーキテクチャスタイルには、たとえば
MVC
パイプ&フィルタ
イベントシステム
などがあります。
このように、文章を親と子の関係性に分けるのです。これが階層構造です。
こうすると、「REST→Webのアーキテクチャスタイル→アーキテクチャスタイルとは複数のアーキテクチャに共通する性質・様式・作法あるいは流儀を指す→アーキテクチャスタイルにはMVCやパイプ&フィルタ、イベントシステムがある→RESTはMVCやパイプ&フィルタと同じ立ち位置のアーキテクチャスタイル」と瞬時に理解できます。
「REST=Webが持つ性質の一種」と短く読み取ってもいいでしょう。
このように、階層構造で読むことで本を読むスピードを上げることが出来ます。
これには慣れも必要ですが、頭の中で文章を階層型にイメージする訓練を続けると無意識にできます。
仕様を暗記しない
技術書を読んでいると、技術の仕様がぎっちりと詰まった図が度々出てきますが、この暗記は非効率なので止めた方がよいでしょう。
例えばWebを支える技術の10章では、HTMLの主なインライン要素が15個程上がっています。しかし、これは使う時に必要な要素を索引すればいいので、
「こんな要素があるんだな」ぐらいで読み流して構いません。
それより技術書で覚えた方がいいのは、用語の意味や技術の背景・必要な理由などの概念的な部分でしょう。
こればかりは自分の頭で理解しないと応用が効きません。
同ジャンルの本を複数冊読んでみる
一冊を何度も読み込むよりも、同ジャンルの本を複数冊読んだ方が記憶に定着しやすいです。
複数冊読んでいると、「この内容前に読んだわ」と思う内容が頻出するので、その際に理解を深めることが出来ます。
自分にあったスタイルで読みましょう
ここで紹介したのはあくまで僕の読み方なので、人によっては合わないかもしれません。
ただ、「本を読むのが苦手」「読書が嫌い」という人でも、読み方を工夫するだけで、読書を好きになれる可能性があります。
読書をすることで知識のベースが増え、手に取れる情報量は読んだ分だけ多くなります。
みなさんが自分なりに読み方を工夫することで、読書好きになれたら幸いです。